【決算情報分析シリーズ】Zホールディングス株式会社|2020年通期 & 2021年1-3月期

今回、紹介する決算情報の分析シリーズは【Zホールディングス株式会社】となります!決算時期は、2020年度通期、及び2021年1~3月期です。

✔︎ ポイント
・売上収益は3,320億円(前年同期比113%)、営業利益は198億円(前年同期比69%)と売上が堅実に成長
・主な成長ドライバーは、メディア事業(特に運用型広告とLINE広告事業)、そしてコマース領域のショッピング事業

2020年3月期通期 トピックス

全体売上

2021年3月期通期の売上収益は、1.2兆円(YoY +14.5%)2年連続の2桁成長となった。

LINEの経営統合による広告事業の成長、通期営業利益は、263億円の黒字を達成。

eコマース取扱高は3.22兆円(YoY+24.4%)、下半期に積極投資を行なったショッピング事業の成長が全体売り上げの成長を牽引した。

2021年1~3月期 トピックス

全体売上

2021年4Q(1~3月)は、メディア事業とその他の事業領域(2021年3月からのLINEの業績を含む)が全体の成長を牽引。

売上収益は3,320億円(前年同期比113%)営業利益は198億円(前年同期比69%)となった。

前年同期と比較し、減益した理由は、eコマースのショッピング事業における「超PayPay祭」等の販促活動強化やストア向け補助キャンペーンの実施などの影響だと考えられる。

メディア事業

メディア事業では、広告関連売上収益が973億円、前年同期比104%とやや成長した結果となった。

プロダクト別の内訳では、①検索広告が449億円(YoY -0.2%)、②運用型広告(YDN, ショッピング広告など)が446億円(YoY +16.5%)、③予約型広告が77億円(YoY -20%)、④ディスプレイ広告が524億円(YoY +9.2%)となった。

それぞれのプロダクトに関するコメントは以下である。

①検索広告

新型コロナの影響における特定業種の出稿需要減少が続いた。

特に、旅行業界は、新型コロナによる緊急事態宣言の再発令がダイレクトに響いた。一方、人材領域は、2月頃より採用活動全般が需要回復の兆しを見せた。

②運用型広告

新プラットフォームへの移行やフォーマット追加等による課金アクション率向上、ショッピング事業取扱高成長に伴うショッピング広告売上収益の拡大を見せた。

複数のメニューをクロスセルさせるアップリフト効果も同時に見られた。

③予約型広告

運用型広告への市場需要シフトや大型顧客の出稿減によって出稿数が減少。

④ディスプレイ広告

広告プラットフォームの統合が完了。これにより、広告管理ツールが使いやすくなったとともに、目的に応じた柔軟な広告出稿が可能となった。具体的には、これまでのサイト誘導中心の配信アルゴリズムから、広告目的に合わせた最適な配信アルゴリズムに刷新された。

LINE 広告事業

広告売上は、416億円(YoY +26%)と成長した。主な要因は、メインプロダクトであるディスプレイ広告とアカウント広告が堅調に推移したため。また、デジタル化の追い風を受け、LINE公式アカウント数は今Qで15,000件(前年同期比126%)を突破。販促ツールとしてのLINE活用が一層浸透。

コマース事業

コマース事業では、eコマースの取扱高8,163億(YoY +14.3%)と伸長。ショッピング事業の成長や、PayPayフリマの出品手数料引下げ(2021年1月)による新規ユーザー増、「超PayPay祭」等の販促活動強化による利用者数、客単価の向上が主な要因である。

事業別のコメントは以下。

物販系 ショッピング事業

ショッピング事業における、取扱高は4,096億円(YoY +25.7%)と成長。前四半期に続いて、過去最高額を更新した。

②物販系 リユース事業

リユース事業やBtoB事業も、取扱高2271億(YoY +9.6%)と微増。いずれも「超PayPay祭」の販促活動強化における新規・既存顧客の利用拡大や客単価の向上が要因。

③サービス系

取扱高865億円(前年同期比91%)と減少。緊急事態宣言の再発令により、旅行や食事予約サイトの需要減が主な要因と考えられる。

④デジタル系

取扱高99億円(YoY +18.8%)と成長。電子書籍取扱高が引き続き伸長。巣篭もり需要によるeBook需要が引き続き高いと考えられる。

⑤クレジットカード

取扱高、6,313億円(YoY +11%)と成長。新サービスや新規機能の開始を控えているため、販促費用の抑制が要因。

⑥その他

PayPayは、決済回数6億1,559万回(YoY+60%)、登録者数3,803万人(YoY+40%)、加盟店数316万店(YoY+50%)まで増加。• 「超PayPay祭」を追い風に、各種KPIは引き続き好調に推移。

今後の展望

2022年3月期の業績見通しは、売上収益1.52~1.57兆円(YoY +26.1~+30.2%) 調整後EBITDAは3,030~3,130億円(YoY +2.8~+6.2%)と発表した。

引き続き、注力業種は、メディア事業 / コマース事業 / 戦略事業の3つでこれらを起点に飛躍的な事業成長を目指す。詳細は以下に記載。

メディア事業

Yahoo, LINEなどの広告プラットフォームを統合し、広告エンジン(最適化アルゴリズムなど)の精度を改善。統合マーケティングソリューションの開発と本格展開を目指し、広告売上収益の2桁成長を目標とした。

コマース事業

UI、UXの改善は継続しつつ、ヤマトHDとのアライアンス強化による物流改善にも務める。LINEを活用したソーシャルコマースを将来的な成長ドライバーとし、オンライン/オフライン横断で取扱高最大化を目指す。

戦略事業

カード、銀行のユーザー基盤拡大し、Fintech領域を中心に、新たな収益の柱を創出。

参照

Zホールディングス株式会社 決算説明会 2020年度 通期及び第4四半期

終わりに

Zホールディングス株式会社の別四半期の決算分析はこちらから

【2020年1~3月期】におけるその他企業の決算分析はこちらから

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